つれづれいきもの

昆虫、猫、鳥、他にもいろいろ・・・?身近な生き物観察記!

エンジョイ!真冬の動物園♪

 

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 子どもの頃は両親に連れられて動物園にもよく遊びに行っていました。

 大人になると動物園に行く機会は少なくなりましたが、親になると、今度は子ども達を連れて行くようになりました。

 ある時、小学生がいる何家族かで、多摩動物園に行こうという話になりました。その話が出たのがたまたま暮れも押し迫った12月末の事。

 寒さにちょっと躊躇しましたが、子ども達が楽しみにしていたし、「まあ、すいているからいいか…」と3家族の大人3人、子ども7人で寒風に震えながら出掛けました。

 小さい頃に一度、多摩動物園の「ライオンバス」に乗った記憶がかすかにあるのですが、実に30年ぶり位に行き、「こんなにおもしろい動物園だったのか!」と色々と驚きました。

 近年は旭山動物園に代表されるような、「動物の生態に無理なく、なおかつ人が動物を見る事を楽しめる」動物園が多くなっていると思いますが、こちらもまさしく、そうした動物園の一つでした。

 この時は寒かったので、その姿を見る事はできませんでしたが、オランウータンが渡り歩く為のロープが目もくらむような高い所に張ってあったり、壁や天井に張り巡らされた透明なパイプを巣穴に見立て、そこを移動するモグラの様子を見る事ができる「モグラ小屋」など、ここでしか見られない珍しい展示がいくつもありました。

 でも、この日一番おもしろかったのは、何と言ってもチーターの展示前での子ども達とチーターの、偶然のやり取りでした。

 始めは動物を見る事を楽しんでいた子ども達でしたが、広い園内をまわっているうちに飽きてきたようです。

 ライオンバスに乗って、座っているだけでも迫力のあるライオンを間近で見た後だったので、次に訪れたチーターには興味を示さず、7人全員で追いかけっこを始めてしまいました。

 年末だったし寒かったし、園内に人は少なかったので、私も他のお母さんも「転ばないように気をつけてね~」と子ども達に声をかける位でした。

 しかし、チーターは本当に美しいですよね!

 私は手すりの前でうっとりと、その見事なプロポーションに見惚れていましたが、4頭のチーターは寒さに身を寄せながら、退屈そうな表情で座り込んでいます。

 ところが突然、そんなチーター達の表情が一変し、4頭が一斉に顔を上げると、立ち上がって地を這うように姿勢を低くしてこちらに向かってきました。

 突如、野性の目つきになった彼らの表情に、私は一瞬、ここが動物園である事も忘れて、身構えてしまいました。

 チーター達の熱い視線は私を通り越し、背後に注がれていました。

 歓声を上げて走り回る子ども達の姿を、彼らはハンターの目で追っていたのです。

 考えてみれば、チーターたちは立ち止まって自分たちを眺める人ばかり見てきたに違いありません。

 「自分たちに気づかず、走り回る生き物」を見つけたチーター達は、一瞬にして本能を目覚めさせ、4頭が一斉に狩りの態勢に入ったのでした。

 そうとは知らない子ども達は引き続き追いかけっこに熱中し、一方のチーターは植え込みの向こうを見え隠れしながら動き回る「獲物」の行方を鋭い眼差しで追い続けています。

 当然ここは動物園なのだから、間違っても彼らがこちらに来る事はないとわかっていても、チーターが真剣に子ども達を狙っている表情には、動物園とは思えないようなスリルがありました。

 その展示スペースには、前面がガラス張りになった室内スペースもあり、子ども達がそちらへ向かうと、1頭のチーターが素早く室内スペースに駆け込みました。

 ここに来れば、ガラス1枚のすぐ向こうに「獲物」がいます。

 相変わらず追いかけっこに夢中な子ども達がガラスの前に差し掛かると、じっと身構えていたチーターが身を躍らせ、「獲物」に飛び掛かろうとしました。

 そのスペースは小さかったので、チーターはすぐに立ち止まるしかありませんでしたが、間近で走り回る「獲物」に大興奮です。

 子ども達が戻ってくると、また目を輝かせてダッシュします。

 ここまで来るとさすがに子ども達もチーターの動きに気付き、スリリングな「野生動物との追いかけっこ」を楽しみ始めました。

 横目でチーターの様子を見ながら「キャーキャー」大騒ぎでガラスの前を走り回ります。逃げ惑う子ども達をチーターは何往復か追い回しました。

 でも、ほどなく「この状況ではつかまえられない」と理解したチーターは「獲物」を追う事をやめてしまったので、「ハンティング」はそれほど長くは続きませんでした。

 とは言え、期せずして子ども達は本物のチーターに追いかけられ、そばで見ていた私達は彼らの野性の表情を垣間見たのです!

 閑散とした真冬の動物園だったからこその、本当に貴重な体験でした。

 やっぱりチーターはハンティングをする姿が一番美しいですね!